更新日: 2017年10月15日
Health共済フォーラム 2016年12月号掲載「Health&Care」


ほぼ立ち仕事の体力勝負なので脚の疲れ・むくみに悩まされています
脚の“静脈”の血行不良解消が大切です

たくさん歩いて脚を動かした日より、長時間立ちっぱなしでいた日の方が脚の疲労を感じるもの。この原因は、脚の静脈の血行不良にあります。脚よりも上にある心臓へと血液を送り返すため、脚の静脈には「静脈弁(逆流防止弁)」がたくさんついていて、重力が血液を脚に滞らせるのを防いでいます。
ところが、立ちっぱなしで脚を動かさない時間が続くと、静脈の収縮が妨げられ、血液が脚に滞り、老廃物が蓄積されて脚の疲れやだるさ、むくみ、夜中のこむら返りなどの原因となります。この状態が慢性化すると、静脈が広がって静脈弁が閉じきらなくなり、血行不良がますます悪化するという悪循環に陥るのです。


脚の血行を悪くする原因は、立ちっぱなしだけではありません。思わぬ生活習慣がむくみのリスクを高めます。
座りっぱなしも脚の健康には大敵。1日中デスクワークをした日の夜は、脚のむくみを感じるはず。脚に疲労を感じたなら、血行が悪くなっているサインです。
体内に乳酸などの疲労物質が増加すると、筋肉の収縮作用が弱まります。睡眠不足やストレス過多の状態は疲労物質を増加させるといわれ、むくみが起こりやすくなります。
運動不足が慢性化している人も脚の血行不良を招きやすくなります。ふくらはぎの筋肉は“第二の心臓”とも呼ばれ、心臓に向かって血液を押し戻すポンプのような役割を果たします。運動不足でふくらはぎの筋肉が衰えている人は、脚がむくみやすくなってしまいます。
肝臓や腎臓の機能が低下すると、体内の水分調節が上手くできなくなり、余分な水分によってむくみを引き起こします。さらに、心臓の機能低下で脚の静脈血を吸い上げる力が弱まることもあります。
女性に多い冷え症は、脚先の毛細血管に血液を流れにくくし、血行不良によるむくみや疲労の引き金になります。
脚の静脈弁が壊れ、血液の逆流が日常的に起こるようになると、静脈にコブができて脚表面が凸凹になる下肢静脈瘤を発症することもあります。見た目の変化が著しいばかりではなく、老廃物が溜まり続けることで皮膚に湿疹ができてかゆみが強くなったり、皮膚に色素沈着が起きて黒ずんだりすることもあります。
立ちっぱなしで脚を酷使する日々でも、生活の見直しやセルフケアによって改善することが可能です。
体を温めることで血行が促進され、汗腺が刺激を受けることで体内の疲労物質が排出されやすくなる効果が期待できます。
浴槽程度の深さでも水圧は意外に大きく、全方向から体にかかる圧力は500kgともいわれています。この水圧がマッサージ効果を発揮し、脚に溜まった血液を押し上げてくれます。
湯船に浸かると浮力によって体が軽くなり、普段体重を支えている脚も緊張から開放されます。関節や筋肉を動かすことも容易になるため、血行促進につながります。
夜寝るときに足首の下あたりに高さ10cmから15cmぐらいの枕を当ててみましょう。翌朝にはむくみの改善が実感できるはずです。ただし、これ以上高い枕は厳禁。脚の付け根が圧迫され、静脈血が流れにくくなって逆効果です。
脚を細くしたい女性に人気の着圧ソックス。適度な圧力をかけて血液の循環を促し、むくみを解消してくれるので、立ちっぱなしの仕事をしている人にはお勧めです。あまり締め付けすぎない、自分の脚のサイズにあったものを使いましょう。

足の甲を握りこぶしでこする

足首から上に向かってゆっくりとこすり上げる。膝の裏に老廃物を集めるイメージで

膝裏を優しくもみほぐす

膝から太ももにむかって強めにさすり上げる

脚の付け根を親指で押しながらもみほぐす。あまり力を入れすぎないこと

立ちっぱなしや歩き回って疲れたときなどの筋肉疲労に効くツボ

足の痛みやこり、違和感などに効果的なツボ

足が疲れてだるさを感じるときに効果的なツボ