更新日: 2017年10月15日
Health共済フォーラム 2016年9月号掲載「Health&Care」


運動会の練習後に声がれ・喉の痛みが治りません
急性声帯炎には喉の安静が第一。放置すると慢性化してポリープができることも

運動会や体育祭のシーズンは、練習などで普段より大声を出す機会が多いものです。しかし、喉を酷使すると、声帯が炎症を起こしてしまいます。そして、腫れたり充血するなどしてうまく発声ができなくなります。これが声がかれる仕組みで、急性声帯炎と呼ばれます。
急性声帯炎の原因は、大声を出すこと以外にもあります。まずは、声帯にとって大きな負担となるタバコの吸い過ぎやお酒の飲み過ぎ。汚れた空気を吸ったり、風邪のウイルスに感染したりすることも急性声帯炎の原因になります。お酒を飲みながらカラオケで何曲も歌ったり、風邪をひいているときに喫煙するなど、2つの原因を同時に作ってしまうと、急性声帯炎のリスクはより大きくなります。

喉頭には、左右の壁から張り出した一対のヒダがあります。筋肉でできたこのヒダが声帯です。声帯は呼吸をするときには開いていて、空気がスムーズに通ります。

声を出すときには声帯が閉じます。ヒダのすき間を声門裂といいますが、ここに空気がぶつかりヒダが震えると音が出ます。声門裂は幅を変えることができ、ヒダの震え方(振動数)が変わります。この振動数の変化によって、違った高さの音を出すことができます。
急性声帯炎を発症しても、まったく声が出なくなるわけではありません。そのため、無理をすれば会話もできます。しかし、急性声帯炎が治りきらないままで喉を酷使し続けると、慢性声帯炎になり声がかれたまま治らないことや、良性の腫瘍である声帯ポリープができてしまうこともあります。
声がれを治す一番の方法は声を出さないこと。声帯を休ませ、刺激物の摂取も控えましょう。
声帯を含む喉全体が乾燥すると、炎症が治りにくくなります。室内では加湿器を使ったり、就寝中はマスクをするなどで喉の乾燥を防いでください。
口呼吸をしている人は、喉をホコリやウイルスを含んだ乾燥した空気に晒していることになります。一方、鼻呼吸では鼻の内部でろ過・浄化し、湿度も調整した空気が取り込まれ、声帯も労わることができます。どうしても口呼吸になる人は、舌の筋肉が弱まり位置がずれている可能性があります。そんなときは、舌トレーニングがお勧めです。

肺の周りにある呼吸に関わる呼吸筋が衰えると、呼吸が浅くなります。すると、大声を出すときに強く息を吸い込まなければならず、また声を出すときも喉だけに力が入るため、声がかれやすくなります。 呼吸筋を鍛えて深い呼吸ができるようになれば、声もかれにくくなるはずです。


声がれは病気のサインの場合も
声帯の摩擦によってタコやマメのような結節が生じます。声がかれる他、喉の痛みも引き起こします。
喉にある甲状腺の機能低下により、ホルモンの分泌が乱れて声がれの症状を伴うことがあります。
胃酸の逆流で食道に炎症が起きる病気ですが、その炎症が喉付近まで達したり、声帯自体が胃酸の刺激を受けることで、声がれが起こります。
初期症状にのどの痛みや違和感の他、声がれが起こる場合があります。
体育祭や部活の指導で大声を出す前は、首のストレッチを行うと喉への負担も軽くなります。






