更新日: 2024年05月29日

直営病院コラム関東中央病院

食生活に役立つ、質の良い『あぶら』とは

関東中央病院 保健師 山形 幸恵

皆さまの食事に深く関わる『あぶら』。種類や量に気を付けて、買い物や料理、食事の際に少し意識するだけでも、今後の健康に役立てることができます。今回はそんな『あぶら』について一緒に勉強していきましょう。

質の良い『あぶら』とは?

『あぶら』というと健康に良くないイメージを思い浮かべませんか?実は細胞の元になったり、体を動かすエネルギー源になったりする体に必要な栄養素の一つなのです。
『あぶら』の極端な不足は肌の乾燥、便秘など、体の不調につながることもあります。
適量(=1日当たり、大さじ2分の1)を目安に、質の良い『あぶら』を摂取することが大切です。

画像:顔に手を当てて悩んでいる女性
質の良い『あぶら』は脂肪酸の種類で選ぶ
飽和脂肪酸 ・常温で固形のもの バター ラード 肉の脂身

身体を作るためのエネルギー源となります。ただし、コレステロールを増やす効果があるため、摂取する際は控えめにしましょう。

不飽和脂肪酸 ・冷蔵庫に入れても固まらないもの オリーブオイルやゴマ油 魚の油

コレステロールや中性脂肪を減らす効果が期待できます。一方で、加熱に弱く、酸化しやすい性質のため、用法には注意が必要です。

飽和脂肪酸の一つ、「中鎖脂肪酸」について

中鎖脂肪酸は糖質制限を行いながら摂取すると、脂肪の燃焼を促す効果があります。
最近話題になったMCTオイルは、飽和脂肪酸の一つである「中鎖脂肪酸」成分が100%の食用油です。
このほかにも中鎖脂肪酸は、牛乳、ココナッツ、母乳等に含まれています。

どちらも身体にとって大切な脂質です。しかし、飽和脂肪酸の過剰摂取は健康悪化につながりますので、不飽和脂肪酸で代用できるものは置き換えながら、『あぶら』の摂取バランスを見直しましょう。

調理法で摂取量は変わる

食材の選び方や調理方法で、『あぶら』の摂取量は変わります。食材や調理方法を上手に選びましょう。

食材の選び方(例)、肉の場合

豚肉・牛肉

ヒレやモモ、肩などの脂身の少ない肉を選ぶことがお勧めです。

鶏肉

ササミ、ムネ、モモの順に、『あぶら』の量は増えていきます。

画像:豚の部位 肩 肩ロース ロース ヒレ 外モモ バラ モモ。 牛の部位 ネック 肩ロース リブロース サーロイン ヒレ ランプ 肩 バラ モモ スネ。 鳥の部位 手羽先 手羽中 手羽元 ムネ ササミ モモ。
画像:豚の部位 肩 肩ロース ロース ヒレ 外モモ バラ モモ。 画像:牛の部位 ネック 肩ロース リブロース サーロイン ヒレ ランプ 肩 バラ モモ スネ。 画像:鳥の部位 手羽先 手羽中 手羽元 ムネ ササミ モモ。

調理方法

煮る・蒸す、焼く、揚げるの順に、『あぶら』の量は増えていきます。

(例)なすの場合
揚げなす:155キロカロリー
焼きなす:27キロカロリー
 → 同じ食材でも、調理方法の違いにより約130キロカロリーの差が生じることも

『見えないあぶら』の存在

バターやオリーブオイルなど調理に使うあぶらを『見えるあぶら』とすると、『見えないあぶら』は、「食品そのものに含まれているあぶら」のことを指します。
食事から摂取するあぶらは、『見えるあぶら』よりも『見えないあぶら』の方が圧倒的に多いため、注意が必要です。

(例)
・肉や魚、乳製品など食材そのものに含まれる脂肪分
・加工食品(ウインナーやベーコンなど)
・インスタント食品(カップラーメンなど)
・パンや菓子類

画像:カップラーメン ポテトチップス ポップコーン 食パン
画像:油の入った鍋に衣についた食材を入れる画像 マヨネーズ

また、『あぶら』は酸化します。光と熱、酸素が主な原因です。
酸化すると過酸化脂質がつくられ、動脈硬化の原因となります。

(例)
・カップラーメンやスナック菓子などの加工食品
加熱や時間の経過により酸化が進む
・開封して6カ月以上経過した油
開封して空気(酸素)に触れた瞬間から酸化が始まり、
保管場所によっては熱による酸化も進む
・揚げ物
時間が経つと、空気に触れることにより酸化する
・マヨネーズ
開封後、長期間経過すると酸化し、色味・風味が変わる

おわりに

調理に使用する『あぶら』の量はもちろん、『見えないあぶら』の摂り過ぎにも十分注意が必要です。
『あぶら』の種類によっては酸化しやすいタイプもありますので、保存方法や保管場所、保管期間に注意してご使用ください。
健康な体を保つため、『あぶら』の質を高めていきましょう!!

公立学校共済組合関東中央病院

基本情報

住所 〒158-8531 東京都世田谷区上用賀6丁目25番地1号
電話番号 03-3429-1171
ホームページ https://www.kanto-ctr-hsp.com/

病院概要

理念 心あたたかく、日々新たに
1. 最適な医療を安全・確実に提供します。
2. 患者さんの意思と自己決定権を尊重します。
3. 地域と職域に開かれた病院を目指します。
許可病床数 383床(一般343床・地域包括40床)
診療科目 総合内科、呼吸器内科、循環器内科、肝胆膵内科、消化管内科、糖尿病・内分泌内科、脳神経内科、腎臓内科、血液内科、アレルギー・リウマチ科、メンタルヘルス科、精神科、小児科、外科(消化器外科)、呼吸器外科、乳腺外科、心臓血管外科、整形外科、リハビリテーション科、形成外科、脳神経外科、産婦人科(婦人科のみ)、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、泌尿器科、神経泌尿科、放射線科、麻酔科、検査科、病理診断科、健康管理科、救急科
沿革 関東中央病院は、昭和28年より公立学校共済組合の職域病院として出発しました。昭和33年には一般健康保険を取り扱う保険医療機関となり、地域住民の皆さまの健康を担う地域の中核的病院となりました。
特徴として、がん治療において内視鏡を用いた胃がん・大腸がん治療などで数多くの実績をあげています。がんの集学的治療(手術、放射線、化学療法等)に積極的に取り組み、高度で専門的ながん医療を患者さまに提供していることが東京都より認められ、令和4年4月1日には、国が指定する地域がん診療連携拠点病院と同等の高度な診療機能を有する病院として、「東京都がん診療連携拠点病院」に認定されています。
また、東京都の中では世田谷、渋谷、目黒の区西南部二次医療圏に属しており、地域の急性期疾患を扱う病院として、平成5年に救急告示病院(二次救急)、平成9年に東京都災害拠点病院の指定を受けています。世田谷区内最多病床数の中核的医療機関として、最適な医療を、安全に、そして確実に提供することで、患者さんの生き方を大切にした、より良い医療を提供できる病院でありたいと考えています。

(令和6年5月現在)

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