更新日: 2018年09月25日
Health共済フォーラム 2018年9月号掲載「Health&Care」
東京都では6月に受動喫煙防止条例が可決され、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの開幕前までには全面施行される見込みです。最近では、非喫煙者がタバコの煙を吸い込んでしまう二次喫煙だけでなく、喫煙後に残留する有害物質にさらされる三次喫煙という受動喫煙も問題視されています。
タバコから立ち上る煙(副流煙)と、喫煙者が吐き出した煙(呼出煙)を、非喫煙者が吸い込んでしまうこと。喫煙者自身がタバコの煙を吸い込むことを“一次喫煙”というのに対し“二次喫煙”と呼ばれ、いわゆる「受動喫煙」はこの二次喫煙を指します。喫煙者が直接タバコから吸い込む煙(主流煙)よりも、副流煙の方が有害物質の濃度が高く、その種類は200から300と膨大。このうち、およそ60種類は発がん性を持つとも言われています。また、呼出煙が目に見えなくなっても、喫煙後しばらくは喫煙者の呼気から有害物質が排出され続けるという研究結果もあります。


急性症状
眼の症状 | かゆみ、痛み、涙、まばたきの増加 |
鼻の症状 | くしゃみ、鼻づまり、鼻水、ムズムズ感 |
喉の症状 | 咳、痛み、かゆみ、イガイガ感 |
その他 | 頭痛、喘鳴(注)、息苦しさ、指先の血管収縮による冷感など |
(注) 空気の通り道である気道が狭くなり、呼吸時に「ゼィゼィ」「ヒュウヒュウ」などの雑音が起こること
慢性的に受動喫煙にさらされると…
受動喫煙による健康被害は、喫煙者と同じかそれ以上とも言われます。呼吸器疾患である喘息のリスクが増加するのはもちろん、有害物質が血管の収縮や血圧の上昇を招き、動脈硬化が促進されて脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなります。また、配偶者が喫煙している場合の肺がん死亡率は、配偶者が喫煙していない場合よりも高く、配偶者の喫煙量に比例して高くなるといわれています。
さらに、家庭や職場などが受動喫煙の環境にある閉経前の女性は、受動喫煙のない場合に比べて乳がんリスクが2.6倍になるという報告もあります。胎児や幼児への影響も大きく、出生体重低下や乳幼児突然死症候群(SIDS)、肺機能の低下、肺炎などの呼吸器疾患、中耳炎のリスクが増加するなどの恐れもあります。

タバコの火が消えて煙がなくなっても、喫煙後は目に見えない有害物質があらゆる場所に残っています。これを吸い込んでしまうことを“三次喫煙”といい、「残留受動喫煙」とも呼ばれます。タバコの煙は、喫煙者の髪や服に付着するのはもちろん、煙の漂う範囲にある壁や家具、カーテン、洗濯物などにも付着。有害物質が少しずつ揮発し続けます。そのため、換気をして空気中の臭いがなくなったように感じても、安心はできません。
髪や服についたタバコの有害物質は、喫煙者が入室すれば一緒に部屋の中に入ってきます。また、集合住宅のベランダで喫煙を行うと、隣室や上下階の洗濯物などに煙が付着する恐れがあり、近隣住民の受動喫煙につながることもあります。

換気扇や空気清浄機の近くで喫煙しても、煙を完全に排気することは不可能です。そして、有害物質は室内に漂い、壁や家具、カーテンなどに付着。結局は受動喫煙につながることになります。

材料(10個分)
おろしニンジン・おろし生姜:各大さじ1、キャベツの葉:2枚、三つ葉:1袋、大葉:5枚、合いびき肉:250g、餃子の皮:10枚
【アーモンド味噌だれ】アーモンドダイス:大さじ1から2、みそ:小さじ1/2、酢:大さじ2、しょうゆ:小さじ1/2、はちみつ少々 ※お好みで刻み唐辛子、ラー油

作り方
1 アーモンドダイスをから煎りし、他の材料と混ぜてたれを作っておく。
2 キャベツ、三つ葉、大葉はみじん切りにし、少々の塩を振って揉む。おろしニンジン・おろし生姜を混ぜる。
3 合いびき肉に塩小さじ1/3を加え、ボウルで粘りが出るまでこねる。さらに、2の野菜、ごま油小さじ1/2、鶏ガラスープの素小さじ1/2を加え、再び粘りが出るまでこねる。
4 餃子の皮に3を包んだら、フライパンに油をなじませて中火で焼く。薄く焼き色が付いたところで水150ccを加え強火にし、フタをする。水分がなくなったら焼き上がりの合図。
ニンジンや大葉、三つ葉はβカロテンが豊富。油を使うと体に吸収されやすくなります。ビタミンC・Eはそれぞれキャベツ、アーモンドで効果的に摂取します。こうした栄養素を取り戻しながら、生姜の消化促進、酢のクエン酸で疲労回復を図り、夏バテも解消します。

レシピ提供:
料理家 井澤由美子
肺がんは、日本におけるがんの部位別死亡者数で男性1位、女性2位と非常に多くなっています。しかし、初期には自覚症状が出にくく、咳などの症状があっても風邪と思い込んで見過ごしがち。早期発見には検診が不可欠です。自治体等で行われる肺がん検診では、主にX線検査と喀痰(かくたん)細胞診が行われます。また、専門病院等で行われるCT検査では、X線検査の10倍も肺がん発見率が高くなるという報告もあります。喫煙者はもちろん、受動喫煙歴がある人は、定期的に検診を受けることをお勧めします。
