更新日: 2020年07月17日

Health共済フォーラム 2020年6月号掲載「Health&Care」

今、あらためておさらいしよう 感染症の基本と予防習慣

世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いが続いています。そもそも私たちの身の回りにはたくさんのウイルスや細菌が存在し、さまざまな感染症のリスクが待ち受けています。これらに打ち勝つために必要なのは、まず敵を知ること。そして十分な対策を講じておくことです。あらためて、感染症の基礎知識をおさらいしておきましょう。

感染症はなぜ起こる?

感染症は、病気を引き起こす微生物が体に侵入して増殖することで起こり、発熱やせきなどをはじめとするさまざまな症状が現れます。病原体は種類によって、空気中や水の中、土の中、そして人間も含む動物の中にも存在します。これらに感染したからといって、すべての人に症状が出るわけではなく、はっきりとした症状が現れる場合は顕性感染、症状が現れない場合は不顕性感染と呼ばれます。後者の場合は保菌者であるにも関わらず重い症状が現れないことから、気付かないうちに感染を広げる恐れもあります。

病原体の種類
(カッコ内は各病原体の大きさ) 注記:1nm(ナノメートル)=0.001μm(マイクロメートル)=0.000001mm
ウイルス(20nmから数百nm) 細菌(1μmから5μm)

細胞を持たず単独では増殖できないため、人などの細胞内に侵入して自身のコピーをつくり増殖する。

代表例
ノロウイルス→感染性胃腸炎/エボラウイルス→エボラ出血熱/HIV(ヒト免疫不全ウイルス)→エイズ等

単細胞生物。細胞分裂で増殖し、人の細胞に侵入したり毒素を排出して害を及ぼす。納豆菌やビフィズス菌など人に有用な細菌もいる。

代表例
サルモネラ菌→食中毒/レンサ球菌→咽頭炎や皮膚感染症/破傷風菌→破傷風等

真菌(5μmから10μm) 寄生虫(2μmから10m)

自然界に存在する真菌は数万種ともいわれ、その一部が病原性を持つ。人の細胞に取り付くと菌糸を伸ばして成長し広がっていく。みそやしょうゆを作る麹カビも真菌の仲間。

代表例
白癬菌 (はくせんきん) →水虫/カンジダ→カンジダ症/アスペルギルス→アレルギー性気管支肺アスペルギルス症等

体内に寄生して栄養分を奪い取る。寄生される人や動物などの生物を宿主といい、宿主に害を及ぼす場合に寄生虫症と呼ばれる。体内ではなく体の表面に寄生するノミやダニなども寄生虫に含まれる。

代表例
マラリア原虫→マラリア/アニサキス→アニサキス症/トキソプラズマ→トキソプラズマ症

病原体の種類
(カッコ内は各病原体の大きさ) 注記:1nm(ナノメートル)=0.001μm(マイクロメートル)=0.000001mm
ウイルス(20nmから数百nm)

細胞を持たず単独では増殖できないため、人などの細胞内に侵入して自身のコピーをつくり増殖する。

代表例
ノロウイルス→感染性胃腸炎/エボラウイルス→エボラ出血熱/HIV(ヒト免疫不全ウイルス)→エイズ等

細菌(1μmから5μm)

単細胞生物。細胞分裂で増殖し、人の細胞に侵入したり毒素を排出して害を及ぼす。納豆菌やビフィズス菌など人に有用な細菌もいる。

代表例
サルモネラ菌→食中毒/レンサ球菌→咽頭炎や皮膚感染症/破傷風菌→破傷風等

真菌(5μmから10μm)

自然界に存在する真菌は数万種ともいわれ、その一部が病原性を持つ。人の細胞に取り付くと菌糸を伸ばして成長し広がっていく。みそやしょうゆを作る麹カビも真菌の仲間。

代表例
白癬菌(はくせんきん)→水虫/カンジダ→カンジダ症/アスペルギルス→アレルギー性気管支肺アスペルギルス症等

寄生虫(2μmから10m)

体内に寄生して栄養分を奪い取る。寄生される人や動物などの生物を宿主といい、宿主に害を及ぼす場合に寄生虫症と呼ばれる。体内ではなく体の表面に寄生するノミやダニなども寄生虫に含まれる。

代表例
マラリア原虫→マラリア/アニサキス→アニサキス症/トキソプラズマ→トキソプラズマ症

病原体はどうやって体内に侵入する?

画像:飛沫感染 空気感染 接触感染 媒介物感染

人への感染の仕組みは大きく分けて垂直感染と水平感染の2種類があります。垂直感染とは、妊娠・出産の際に病原体が赤ちゃんに感染する、いわゆる“母子感染”のこと。水平感染とは、人や物から病原体が周囲に広がっていくことで、その経路は次の4つに分けられます。

接触感染

感染源との直接の接触により感染。皮膚や粘膜の接触の他、ドアノブや手すり、便座、スイッチなど病原体が付着した箇所、感染者の吐しゃ物などに汚染された手指を介して、口や目から体内に侵入する場合などがあります。

感染例
咽頭結膜熱(プール熱)、梅毒、淋病 (りんびょう) 、ノロウイルス等

媒介物感染

汚染された水や食品を口にすることで起こります。他にも血液、昆虫、動物などを介して病原体が体内に侵入し感染症を起こす場合もあります。

感染例
マラリア、コレラ、腸チフス、A型肝炎等

どうやって予防すればいいの?

ワクチンの接種

ウイルスや細菌を活動できない状態にしたり、病原性をなくして作られるのがワクチン。接種することで免疫が作られ、本物の病原体が体内に侵入してきたときに発症を抑えたり、重症化を予防する役割を果たします。

ワクチンで予防できる感染症
インフルエンザ、風疹、日本脳炎、百日咳、破傷風等

手洗い、うがいで感染経路を遮断

感染症の多くは、手を介して起こりやすいと言われます。ウイルスなどが付着した場所を触った手で鼻をこすったり口を触ったりすれば、たやすく体内に侵入します。手を介した病原体の侵入を遮断する手洗いはとても大切。また、うがいは口腔や上気道を洗い流し、病原体の定着を予防することにつながります。

画像:手のひらの洗い残しやすい部分
濃く着色した部分ほど洗い残しやすい箇所。意識して丁寧に洗いましょう。

病原体を室内に持ち込まないようにするために

帰宅したらきれいに手を洗ってしっかりとうがいをして、これでひと安心…ではありません。室内に入ってすぐ、電気のスイッチや洗面所のドアノブ、蛇口など、手を洗う前に触っていませんでしたか?また、スマホなど家の外で触っていたものを室内に持ち込み、手洗い後再び触ってしまえば元の木阿弥。手は再び汚染されてしまいます。

念には念を入れて感染経路を遮断しよう

  • 玄関に消毒用エタノールを置いておき手を消毒してから室内に入る
  • 手洗いの後、手洗い前に触れた箇所を消毒し、その後もう一度手を洗う
消毒液を目的に応じて使い分け
次亜塩素酸ナトリウム 消毒用エタノール
消毒に適しているもの ドアノブなどの室内環境 手指、ドアノブなどの室内環境
有効な病原体 ほとんどの微生物 一般細菌、真菌、ウイルス
注記:ノロウイルス・ロタウイルスには効きにくい

ココロとカラダを満たすくつろぎレシピ 基本食材 肉 酢 冷蔵庫で3~4日保存可能

梅雨の時期は食中毒も多い季節。肉を酢に漬けておくと、防腐効果で日持ちがするだけでなく、肉質も柔らかくなります。さっぱりとした口当たりが食欲を刺激し、蒸し蒸しするこの時期にピッタリです。

ポークビネガーのガーリックソテー

写真:ポークビネガーのガーリックソテー 605キロカロリー(1人前当たり)

材料(2人分)

豚肩ロース(焼肉用):200g、酢:大さじ1 1/2から2、しょうゆ:小さじ2、オリーブオイル:大さじ1、ニンニク:1かけ、黒こしょう(粗挽き):適宜、キャベツサラダ(キャベツ30gとニンジン少々に、塩小さじ1/2、レモン果汁 大さじ1を加えてもみ込んだもの)

作り方

1 ポリ袋に豚肩ロースと酢、しょうゆを入れ、もみ込んで20分置く(冷蔵庫で3日から4日保存可能)。
2 フライパンにオリーブオイルと潰したニンニクを入れて中火で熱する。1を加え、焦げ目がつくまで焼いたら、しょうゆ少々(分量外)を入れ、さらに火を通す。キャベツサラダを盛った器に移し、黒こしょうを振って完成。お好みでレモンを添えて。

写真:チンジャオロース

酢で漬けた豚肉を使えば、チンジャオロースも爽やかな仕上がりに

心身ともに癒す 酢の効果

酢は腸の善玉菌を増やし、悪玉菌の繁殖を抑制。腸のぜん動運動を促進させ、腸内環境を良くします。内臓脂肪や皮下脂肪を減らし、食後の血糖値上昇を抑えるなどさまざまな健康効果があります。また、疲労回復やストレスを軽減する効果も期待できます。

写真:レシピ提供 料理家 井澤由美子
レシピ提供
料理家 井澤由美子