更新日: 2025年08月21日

直営病院コラム四国中央病院

それって、五十肩?

四国中央病院 主任作業療法士
 村野 卓也

肩を動かしたときに痛みが出る、腕を後方に回せない、肩があがらない等の症状がありませんか?
このような関節痛の症状を、通称「四十肩」「五十肩」と呼びます。加齢によるものが多く、特徴として肩をあげたり水平に保ったりすることが難しくなります。肩こりは筋肉の緊張等から起こるもので、「四十肩」、「五十肩」とは違います。

四十肩、五十肩の原因は?

関節は骨、軟骨、靱帯や腱等で構成されています。これらは加齢と共に老化していきます。肩関節についても同じで、中でも上腕骨と肩甲骨をつなぎ、安定させている筋肉である「肩腱板」と呼ばれる組織が炎症を起こし関節を包む袋である「肩関節関節包」に広がることで肩関節周囲炎が起こるといわれています。さらに関節の動きを円滑にしている「肩峰下滑液包」や「関節包」が癒着すると動きがより悪くなり拘縮という状態になります。

画像:五十肩の原因
公益社団法人日本整形外科学会. パンフレット「整形外科シリーズ5 五十肩(肩関節周囲炎)」. 2009 より引用

どんなときに痛みが出る?

  • 洗濯物を干すとき
  • 着替えをするとき
  • 髪を後ろで結ぶとき
  • 電車でつり革を持つとき
  • シャンプーするとき
  • エプロンのひもを結ぶとき
画像:電車でつり革を持つ人々・着替えをする人

四十肩、五十肩の治療法は?

動かすときに痛みがありますが、動かさないでいると今度は肩の動きが悪くなってしまいます。治療法としては、「運動療法」をメインにしたリハビリを行います。ストレッチや振り子運動は肩関節の緊張をほぐし、痛みの緩和と関節の可動域を広げることを目的とします。自宅では入浴や蒸しタオル、温湿布などを使い、温めた後に運動療法を行うと血行の改善、柔軟性の向上などにより関節が動かしやすくなります。

痛みの出た時期により治療法も変わります

  • 痛みが2、3日前から急に出た場合

    急性期の可能性が高く、運動療法は炎症や痛みを悪化させるため、安静を保ちます。

  • 痛みが2、3週間前の間に出た場合

    組織が修復してくる時期です。拘縮があっても軽いのが通常です。多くの場合は運動療法で可動域は改善します。

  • 痛みが2、3カ月前から徐々に出た場合

    慢性期の可能性が高いです。炎症は基本的には落ち着いていると考えられるので拘縮除去を中心とした運動療法が重要になります。

注記:振り子運動は軽く腰を曲げ、痛みがあるほうの腕の力を抜いて前後に揺らします。

画像:振り子運動を行う男性1 画像:振り子運動を行う男性2
写真:振り子運動(ペットボトルを重りに使用)

夜間通を緩和する寝方

四十肩、五十肩になると、就寝時に痛みが出る「夜間痛」が出やすくなります。あおむけで寝ると重力によって肩の位置が押し下げられ、ゆがんだ力が加わることで関節に負担がかかり痛みの原因になります。

  • 高さを調整する

    バスタオルや枕を使い、肩の高さを補います。肩の後ろから肘にかけて支え、肩と腕を安定させます。

    画像:就寝時に肩の高さを補っていない男性 画像:就寝時にバスタオルや枕で肩の高さを補う男性
  • 横向きに寝る

    横向きに寝るのも対処法の一つです。横向きになるときは、肩が押し下げられないよう高さを保つための抱き枕や、丸めた毛布などを使用するとよいです。

    画像:横向きに寝る男性

最後に

四十肩、五十肩の症状によっては仕事や家事、やりたいことが十分にできない等、生活の質の低下につながります。肩に痛みが出たとき、対処法を誤ると悪化することがありますので、早めに整形外科を受診し治療しましょう。

公立学校共済組合四国中央病院

基本情報

住所 愛媛県四国中央市川之江町2233番地
電話番号 0896-58-3515
ホームページ https://www.shikoku-ctr-hsp.jp/

病院概要

理念 Smile(笑顔)、Speed(迅速)、Sincerity(誠意)を基調として、質の高い医療を提供し、地域と共に成長し、安心・安全を未来に繋ぐ
許可病床数 275床(一般229床、精神46床)
診療科目 内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、心療内科、精神科、小児科、外科、消化器外科、乳腺・内分泌外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、緩和ケア外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、リハビリテーション科、麻酔科、病理診断科
沿革 四国中央病院は、全8病院の公立学校共済組合直営病院の中で、6番目の病院として愛媛県川之江市(現 四国中央市)に昭和34年に開設されました。
当初は、内科、外科、耳鼻咽喉科、歯科の4科で診療が開始されましたが、その後、疾病構造の変化と地域医療の需要に対応して順次診療科を増設し、昭和41年に総合病院としての認可を受け、平成6年6月に病院第一期再開発により、現在の病院(鉄筋コンクリート造 地下1階、地上6階)を新築しました。その後、ハード・ソフト両面において充実を図り、現在の26診療科、病床数275床(一般229床、精神46床)となっています。

(令和7年8月現在)

アクセス
電車でお越しの方
JR川之江駅から四国中央病院まで 徒歩約15分 または タクシー約5分
お車でお越しの方
松山自動車道 三島川之江インターから四国中央病院まで 車で約20分 国道11号線 山下公園前交差点から四国中央病院まで 東へ約1キロメートル