更新日: 2018年12月28日

Health共済フォーラム 2018年12月号掲載「Health&Care」

若い女性にも増加傾向 女性特有のがんを知ろう

がんといえば中高年以降に発症リスクが高まるというイメージがありますが、女性特有のがんは若年化が進み、20歳代でも発症するケースが増えています。初期の段階では痛みなどの自覚症状が現れにくいため、発見を遅らせないためにも、若いうちからがんの知識を持っておくことが大切です。女性特有のがんの種類と特徴を知り、早期発見につなげましょう。

女性がかかるがんの第1位「乳がん」

乳房の乳腺組織にできる乳がんは、日本人女性の罹患率第1位で、死因では第5位のがんです。乳がんの発生には女性ホルモンの「エストロゲン」が大きく影響しており、20歳代から徐々に増え始め、50歳前後でピークを迎えます。初期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、乳房や脇の下に触れるとしこりが認められる他、進行すると乳頭からの分泌物や湿疹、乳房の皮膚の発疹やただれなどが見られることもあります。

画像:乳がんのリスクが高い人の一覧

自分で発見できる数少ないがん

乳がんは自分で発見できる数少ないがんでもあります。セルフチェックを習慣づけて早期発見につなげましょう。
生理前だと乳房に痛みや張りがあり正確な判断がしづらいため、生理が終わった4日後から7日後に行うのがお勧めです。閉経を迎えた後は、毎月日にちを決めて行うのがよいでしょう。

見てチェック

両腕を上げて正面・側面・ななめから乳房の状態を観察。形や大きさに変化はないか、乳房や乳首にくぼみや引きつれがないかをチェックする。

画像:見てチェック チェックポイント、乳房の大きさや形に変化はないか、皮膚・乳首にへこみやひきつれはないか、乳首のへこみや湿疹・ただれはないか

触ってチェック

乳房にしこりがないかを確認します。人差し指と中指と薬指の3本をそろえ、腕を上げた方の乳房を上下左右と渦巻き状にくまなくチェックします。この時、脇の下の方までしっかりと触れること。立った姿勢の他、背中に枕を入れて仰向けに寝た状態でも行うとよいでしょう。また、乳首を軽くつまんだ時に、血液などの分泌物が出ないか確認します。

画像:触ってチェック

20歳代の発症が増えている「子宮頸がん」

子宮がんには、子宮の入口にできる子宮頸がんと、子宮奥の子宮体部にできる子宮体がんがあります。子宮体がんは閉経前後に多い一方、子宮頸がんは近年20歳代にも増えています。どちらのがんも初期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行するとおりものの異常や不正出血、下腹部の鈍い痛みなどが現れます。

画像:子宮体がん、子宮頸がん
頸がんと体がんの発生要因は別

子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)によって起こります。HPVは皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染し、多くの場合は性交渉によって感染すると考えられています。HPV感染からがんへの進行には喫煙やストレスなどのさまざまな要因があり、5年から10年、長ければ20年以上かけてがん化することもあります。子宮体がんにはエストロゲンが関与し、閉経前後の40歳代後半から増え始め、50歳代から60歳代でピークとなります。

自覚症状が現れにくい「卵巣がん」

妊娠・出産の経験がない場合や、初潮が早く閉経が遅いなど、排卵回数の多さがリスクになるのが卵巣がんです。進行が遅い場合が多く、卵巣の位置が骨盤内の奥深くにあるため、痛みや出血、おりものの異常などの自覚症状が現れにくいという特徴があります。一方で、がんが進行すると便秘やお腹の張り、頻尿などの症状が現れることがありますが、これらの症状自体はがんと結びつきにくく、発見が遅れがちです。

画像:自覚症状が現れにくい「卵巣がん」

いずれのがんも早期発見には定期的な検診が不可欠

自覚症状が現れる頃にはある程度進行している恐れがある女性特有のがん。早期発見には定期的に検診を受けることが大切です。乳がん検診ではマンモグラフィ、子宮頸がん・子宮体がんでは細胞診、卵巣がんでは超音波検診などが行われます。40歳を過ぎたら2年に1度、遺伝要因などハイリスクの人はこれに限らず、検診を習慣化しましょう。

画像:いずれのがんも早期発見には定期的な検診が不可欠

免疫機能を活性化させるレシピ 玄米ビビンバとキノコたっぷりスープ

材料(2人分)

【ビビンバ】玄米:2杯分、生わかめ:70g、生ひじき:30g、三つ葉:1/3束、レンコン:50g、いくら:大さじ3から4、すりゴマ:小さじ1/2から1、A(ゴマ油:小さじ1、酢:大さじ1、粗塩:3つまみ)、B(ゴマ油:小さじ2、醤油:小さじ1、粗塩:1つまみ、生姜皮付き細切り少々)
【スープ】舞茸:1パック、なめこ:1/2袋、干し椎茸スライス:8枚、酒:大さじ1、醤油少々

写真:玄米ビビンバとキノコたっぷりスープ

作り方

【ビビンバ】
1 レンコンは皮をむいて薄切りにし、たっぷりの熱湯で3分から4分ゆでる。生わかめと生ひじき、根元を落として3cmから4cmに切った三つ葉を一緒にさっとゆでる。いずれもザルに上げた後、キッチンペーパーで水気をしっかり取る。
2 レンコンとAの調味料、わかめ・ひじき・三つ葉とBの調味料をそれぞれ別のボウルで和える。
3 炊いた玄米の上に全て盛り付け、最後にいくらをのせてすりゴマをふる。
【スープ】
1 干し椎茸は2カップ半の水で戻す。
2 1を小鍋に移して中火で温め、ほぐした舞茸、なめこ、酒を入れ、味をみて醤油少々で調える。お好みでゆずの皮をのせて。

知っておきたい栄養豆知識

玄米が持つフィチン酸や食物繊維は体に溜まった老廃物を強力に排出します。一晩水に浸し、塩を少々加えて炊きましょう。舞茸はキノコの中でも抗がん作用が群を抜いて高く、ビタミン類も多く含まれ免疫力アップにとても効果的です。
レシピ提供:料理家 井澤由美子