更新日: 2021年12月24日

Health共済フォーラム 2021年12月号掲載「Health&Care」

ぬるめのお湯で気持ちもほぐれる 自律神経のバランスを整える入浴法

入浴の際、シャワーだけで済ませるよりもゆっくりと湯船に浸かった方が、すっきりと疲れが取れてストレスが洗い流されるように感じるものです。これは単に気持ちの問題ではなく、湯船に浸かるという行為そのものが自律神経に働きかけ、心身に良い影響を与えるため。リラックスをもたらす副交感神経を優位にして、メンタルを整える正しい入浴法を紹介します。

入浴の3大効果

入浴の効果は体を清潔に保つことだけではありません。湯船に浸かると疲れが取れ、リラックスした気分を味わえるのは、大きく分けて3つの作用が体に働くためです。

画像:湯船に浸かっている女性
温熱作用

温かいお湯に全身が浸かると、皮膚の毛細血管が広がって血流が良くなります。この働きによって体の隅々にまで酸素が運ばれ、新陳代謝がアップして老廃物や疲労物質が取り除かれます。そして体のコリや痛み、疲労感などが和らぎ、気持ちの緊張も軽くなります。

水圧作用

湯船に入ると全身に水圧がかかります。自分で体への圧迫感を意識するほどではありませんが、首までお湯に浸かったときに体にかかる水圧は、およそ500kgもあるといわれています。この水圧が体の各部位をほどよく圧迫し、呼吸を自然に深くさせ、手足にたまった余分な血液やリンパ液を押し流すのを助けます。

浮力作用

浅い湯船の中でも、体はプールに浮かんでいるときのような浮力の影響を受けます。このとき、体の重さは陸上の10分の1程度になり、筋肉や関節への負担が軽減されます。体全体の緊張が緩むと、脳の緊張も穏やかにほぐれていき、心身へのリラクゼーション効果につながっていきます。

その入浴方法、リラックスには逆効果かも?!

入浴によって血行が促進されて体が温まると、自律神経にも良い作用をもたらします。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、双方がバランスを取りながら心身の健康を維持しています。交感神経には心身を興奮状態にしてパワーを発揮させる役割があり、副交感神経には心身をリラックス状態にして休息させる働きがあります。入浴は自律神経に作用して心身を緩める効果を秘めていますが、実は湯船の温度によってその効果は変わります。熱いお湯に浸かるのが好きという人も少なくありませんが、42°Cを超える熱いお湯に浸かると、交感神経を優位にさせ、心身を興奮状態にしてしまうのです。リラックスとは真逆の状態です。朝、眠気を覚ましたいときに短時間浸かる分には良いでしょう。しかし、心身が疲労している夜に熱いお湯に浸かってしまうと、交感神経を活性化させることにより、疲労を蓄積させてしまうことにもなりかねないので要注意です。

自律神経を整える正しい入浴方法

1

水分をとる

じっくりと湯船に浸かると発汗で800mlもの水分が失われるといわれます。入浴30分前ぐらいまでに200mlから300mlの水を飲んでおきましょう。

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2

かけ湯をする

手足の先から体の中心部という順番でかけ湯を行います。体の汚れを取るだけでなく、血圧の急上昇を防ぐ役割もあります。

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3

全身浴

入浴の3大効果を効率よく得たいなら、半身浴よりも首までお湯に浸かる全身浴がお勧めです。37°Cから40°Cのぬるめのお湯に、無理をしない程度に10分から15分浸かりましょう。ただし、心臓や肺への負担が心配な場合は、半身浴でも良いでしょう。

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4

髪や体を洗う

洗い場で体をクールダウンさせながら、全身を洗います。

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5

全身浴

無理をしない程度に、10分から15分浸かります。

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6

水分をとる

入浴後もしっかりと水分を補給します。体を冷やさないために常温の水がお勧めです。

もっと自律神経に働きかけたいなら「温冷交代浴」

文字通り、温かいお湯に浸かる温浴と、冷たい水を浴びる冷浴を交互に行う入浴法です。血管の拡張と収縮を交互に繰り返すことで、血流が活発になり、体内の疲労物質の減少に役立つほか、交感神経と副交感神経の切替えのバランスが整うといわれています。
ただし、いきなり冷水を全身に浴びると血圧が急上昇する危険があるので要注意です。40°Cぐらいのお湯に3分ほど浸かったら、シャワーを湯船より低い30°Cぐらいに設定し、手足の先に30秒ほどかける。これを3回程度繰り返しましょう。

画像:40°Cの適温のお湯に浸かる男性の様子と足に30°Cくらいの水をかけている様子

注記:高血圧や循環器疾患、けがによる腫れ、体調不良などがある人は控えましょう

ココロとカラダを満たすくつろぎレシピ 豆腐と卵のスンドゥブチゲ

スンドゥブ(韓国豆腐鍋)は、豆腐さえあれば作れる簡単料理。アサリや明太子の代わりに豚肉やツナ缶でもおいしくでき、ご飯も進む味付けです。

写真:豆腐と卵のスンドゥブチゲ

材料(2人分)

絹ごし豆腐:約400g、明太子:50g、卵:2個、アサリ(砂抜きしたもの):280g、キムチ:200g、調味料A(ごま油:大さじ1、おろしにんにく:小さじ1、粉唐辛子:小さじ1/2から1、みそ:小さじ2、麺つゆ(3倍濃縮):大さじ3から4)、出汁:460cc

作り方

  • 1 キムチと調味料Aを土鍋に入れて中火で炒め、コクと旨味を引き出す。全体がなじんだら出汁を加える。沸騰したらアクを取り、弱火にして5分煮る。
  • 2 1に水気を切った絹ごし豆腐をスプーンですくって入れ、2分から3分煮る。アサリと2cm幅に切った明太子も加えて、アサリの口が開いたら火を止める。卵を割り入れ、お好きな固さまで火を通したら完成。お好みで刻みネギやゴマを振って。

アレンジ活用 韓国風旨辛焼うどん

旨味の残った煮汁に、柔らかめにゆでたうどんを入れ、ごま油少々を加えて煮からめる。粉チーズ、こしょうを振る。お好みで辛味などを足しても。

写真:アレンジ活用 韓国風旨辛焼うどん
温活アンド整腸で寒さ厳しい季節も健康に

寒い季節は体を冷やさないことが最も大切。唐辛子に含まれるカプサイシンには発汗作用があり、体を温め血の巡りを良くします。また、自律神経の乱れは、腸内環境を整えることで改善されることも。キムチやみそなどの発酵食品は腸内運動を活発にし、整腸効果をもたらします。

写真:レシピ提供 料理家 井澤由美子
レシピ提供
料理家 井澤由美子