更新日: 2022年12月23日
Health共済フォーラム 2022年12月号掲載「Health&Care」
草花や果物など植物の香り成分を抽出した「精油」を嗅ぐことで、リラックスしたり、気分を高めたりするのに役立つアロマテラピー。自宅ではもちろん、外出先や仕事中などさまざまな場面で香りの力を借りることで、心身のリフレッシュにつながります。イライラしたときや落ち込んだとき、何となく体調がすぐれないとき、アロマテラピーを活用してみてはいかがですか?

20世紀初頭、フランスで「アロマ(芳香)」と「テラピー(療法)」を組み合わせた造語として生まれたアロマテラピー。植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)の芳香を用い、リラックス効果を得たり体調不良の改善を図ったりするなどの目的で行われてきました。
アロマテラピー関連で唯一内閣府に公益認定されているAEAJ(公益社団法人日本アロマ環境協会)では、アロマテラピーを以下のように定義しています。

アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である「精油(エッセンシャルオイル)」を使って、美と健康に役立てていく自然療法です。
アロマテラピーの目的
- 心と身体のリラックスやリフレッシュを促す
- 心と身体の健康を保ち、豊かな毎日を過ごす
- 心と身体のバランスを整え、本来の美しさを引き出す

香りの成分が鼻から吸い込まれると、鼻の奥にある嗅細胞(きゅうさいぼう)に付着します。すると、この刺激が香りを感知する脳の大脳辺縁系や視床下部といった部位に伝わります。これらの部位には、感情や情動をコントロールしたり、自律神経系を整える役割があります。実は、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感のうち、脳の中枢に直接伝わるのは嗅覚からの情報だけ。そのため、嗅覚情報は他の感覚に比べて強く、早い刺激として脳に伝わり、心身に働きかけやすいのです。


日本では、主に香りを楽しみ、癒やし効果が期待されるアロマテラピーですが、ヨーロッパでは医療現場でも積極的に活用されています。例えばフランスでは、メディカルグレードと呼ばれる精油が薬局で購入でき、医師や薬剤師の処方に基づいて皮膚に塗ったり経口投与したりするなど、治療用としてのメディカルアロマが認められています。
またドイツでは、ハイルプラクティカー(自然療法士)と呼ばれる国家資格を持つ専門家によって、ハーブ療法やカイロプラクティックなどとともに、アロマテラピーが代替療法として用いられています。


精油は、種類によって香りも効能もさまざまです。 お気に入りの香りを選んだり、求める効能に合わせて試してみたりするのもよいでしょう。




鎮静作用や自律神経を整える作用が期待できる精油がお勧め。


殺菌作用があり血行促進効果の高い精油が免疫力向上に役立つ。


脳を刺激してリフレッシュ効果の高い製油を選べば眠気覚ましにも。


ティッシュやハンカチに1滴2滴垂らして
アロマテラピーは、アロマポットやアロマディフューザーなどの専用器具を用いて行うのが一般的。しかし、ティッシュペーパーやハンカチに精油を1滴2滴垂らすだけでも手軽に香りを楽しむことができます。ポケットに入れて持ち歩けば、仕事中の気分転換にも役立つはずです。

取り扱う際はご注意を!
- 精油は原液のまま肌に付けると刺激が強すぎる場合も。目などの粘膜にも原液が触れないようにすること。
- 精油が肌に付いた状態で紫外線を浴びると炎症などが起きる「光毒性」のある精油にも要注意。
- 乳幼児や妊娠中、持病のある人がいる場合には、精油の取扱いやアロマテラピーの実践は慎重に。
- コンロやストーブの近くなど火気まわりでの使用には十分に注意する。
キャベツ:1/5個、ごぼう:1/4本、にんじん:1/5本、しょうが:半片、玉ねぎ:1/2個、高野豆腐:1個、舞茸:1/3パック、豚バラ薄切り肉:約100グラム、塩

キャベツ:1/5個、ごぼう:1/4本、にんじん:1/5本、しょうが:半片、玉ねぎ:1/2個、高野豆腐:1個、舞茸:1/3パック、豚バラ薄切り肉:約100グラム、塩
- 1 キャベツはザク切りに、ごぼう、にんじん、しょうが、玉ねぎは鍋に積み重ねやすいように大きさを揃えて薄切りにする。切ったごぼうは水に10分さらしてアク抜きをする。高野豆腐は水で戻し、野菜類と大きさをそろえて薄切りにする。舞茸は食べやすい大きさにちぎる。
- 2 鍋に塩2つまみを振り、舞茸、キャベツ、玉ねぎ、高野豆腐、しょうが、にんじん、ごぼう、豚バラ薄切り肉の順に積み重ねる。最後に塩2つまみと水100ccを加え、ふたをして中弱火で10分から15分ほど煮る。火が通ったら鍋の中を大きく混ぜて、器に盛る。お好みで柚子胡椒を添える。


重ね煮に、200ccから300ccの昆布出汁と、しょうゆ、みりん、酒各小さじ2を加えて火にかける。くず粉か片栗粉(粉大さじ1、水大さじ2を混ぜる)でとろみをつけたら、ゆでたそばの上にかけ、三つ葉を添える。

胃腸を整え、体を温める食材を組み合わせ、デトックス効果の高いレシピをご紹介しました。特に、舞茸はβグルカンの含有量が多く、血中コレステロール値を下げるほか、免疫力を高める作用もあるといわれています。野菜のうまみが凝縮した、優しい味わいにホッとする冬の献立です。

料理家 井澤由美子