退職一時金の返還について

更新日: 2017年04月01日

過去の退職において退職一時金を受給し、その期間を清算されている方は、清算した期間を年金算定期間に含めるために、その一時金を受給されたときから年金受給権発生時までの期間及び利率に応じて複利計算した、利子に相当する額を加えた額を返還していただくことになります。

1 退職一時金とは

退職一時金の制度は、昭和54年12月31日以前に組合員期間が1年以上20年未満で退職し、退職年金が支給されない方に対して、在職中に徴収された掛金を返還する趣旨から設けられた制度です。

2 退職一時金の返還について

(1)返還理由
ア 重複支給の防止
過去に退職一時金の支給を受けた方が、その後、老齢厚生年金等の受給権が発生した場合には、当該退職一時金の基礎となった期間も、年金の算定の基礎となる組合員期間に算入されます。
その組合員期間については、退職一時金と老齢厚生年金等の両方が支給されることから、重複して支給されることを防止し、退職一時金の支給を受けなかった方との均衡を図るため、支給を受けた退職一時金に利子に相当する額を加えた額を返還していただくこととされました。
イ 過重返還の防止
昭和61年3月までは、過去に支給した退職一時金の調整として、生涯にわたって年金額から一定額(注記1)を控除する方法によっていました。
この方法によると、過去に受給した退職一時金に比べ、年金額から生涯にわたって控除される金額が、相当多額となっていました。
このため、昭和61年4月から現行の方法に改められ、返還をもって、生涯にわたる年金額からの控除は行なわないこととされました。
(注記1)一定額:当該退職一時金の基礎となった期間の年数1年につき、給料年額の100分の1.4相当額
(2) 返還額の計算方法
返還額 = 退職一時金受給額(原資控除額(注記2)は含まない)+ 利子に相当する額
利子に相当する額の計算方法は、退職一時金の支給を受けた月の属する月の翌月から老齢厚生年金等を受ける権利を有することとなった日の属する月までの期間に応じ、次に掲げる区分及び利率に応じて、複利計算により算定されます。
(注記2)原資控除額
組合員期間が20年未満で退職した場合は、まず、勤務年数に応じた額を計算し、その金額から、将来の年金に備え年金の原資を控除(「原資控除」といいます。)した残りの額を、退職一時金として支給していました。
このため、原資控除した額は、退職一時金の返還額には含まれません。
なお、昭和44年10月までに退職した男子組合員及び昭和53年5月までに退職した女子組合員については、原資控除を希望しない選択権があり、全額退職一時金を受給することもできました。
また、昭和55年1月以降の退職者は、退職一時金制度が廃止されたことに伴い、全額が年金原資として積み立てられています。

利率
期間利率
(%/年)
期間利率
(%/年)
平成13年3月まで 5.5 平成26年4月から平成27年3月 2.6
平成13年4月から平成17年3月 4.0 平成27年4月から平成28年3月 1.7
平成17年4月から平成18年3月 1.6 平成28年4月から平成29年3月 2.0
平成18年4月から平成19年3月 2.3 平成29年4月から平成30年3月 2.4
平成19年4月から平成20年3月 2.6 平成30年4月から平成31年3月 2.8
平成20年4月から平成21年3月 3.0 平成31年4月から令和2年3月 3.1
平成21年4月から平成22年3月 3.2 令和2年4月から令和5年3月 1.7
平成22年4月から平成23年3月 1.8 令和5年4月から令和7年3月

1.6

平成23年4月から平成24年3月 1.9 令和7年4月から令和8年3月 1.7
平成24年4月から平成25年3月 2.0 令和8年4月から令和9年3月 2.0
平成25年4月から平成26年3月 2.2 令和9年4月から 2.1

3  返還方法

退職一時金の返還額は、年金定期支給額の2分の1を超えない範囲内で返還額に達するまで、順次、定期支給額から控除することにより返還していただくこととなっています。

4  その他

退職一時金の返還額は、老齢厚生年金等を受ける権利を有することとなったときに、返還することとされておりますので、年金受給権発生前に返還することは、制度上、出来ないこととなっております。